タチヤ豊田小坂店(愛知県豊田市)2026年10月下旬オープン,バローグループ内のブランド変更。ドミー毘森公園店を改装,ディスカウントストアとディスカウンティング,

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目次

・10月下旬 タチヤ豊田小坂店

企業HP
愛知県豊田市小坂町2丁目60番地

業態変更ではない理由

 バローグループ入りしたドミー(愛知県岡崎市)の店舗、特にスーパーマーケットバローの近くに出店しているドミーとの内部競合を避けることや、あらたな商圏と顧客獲得を目指して、スーパーマーケットであるドミー毘森公園店を閉店させ、あらたにタチヤ豊田小坂店としてブランド変更(×業態変更)。

 タチヤをディスカウントストアとする意見もあるが、食彩品館newsでは「生鮮低価格指向のスーパーマーケット」という位置付けです。
よって今回の改装を「業態変更」とは表現しません。

食彩品館NEWSにおける「業態」の考え方

食彩品館NEWSでは、価格の高低によって小売業態を分類しません。

「価格が安い」「低価格を強く訴求している」ということは、その店舗の価格政策、販売政策、あるいは経営政策の特徴であって、それ自体を独立した「業態」とは考えません。

したがって、「ディスカウントストア」という名称を、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどと並列する業態分類としては用いません。

セルフサービスによって商品を大量販売する近代的小売店舗については、取り扱う商品が食品中心であるか、食品・非食品を総合的に扱うか、非食品中心であるかという違いがあっても、基本的には「スーパーマーケット」という小売業態の範囲で捉えます。

そのうえで、

「どのような商品を扱うか」
「どのような価格政策を採用するか」
「どのような調達・物流・店舗運営を行うか」

という違いを別に考えます。

したがって、現在一般に「ディスカウントストア」と呼ばれている店舗についても、低価格で販売していることを理由として別の業態には分類せず、食彩品館NEWSでは原則として「小売業態としてのスーパーマーケット」と捉えます。

「ディスカウントストア」と「ディスカウンティング」を分ける

ここで重要なのが、「ディスカウントストア」と「ディスカウンティング」を分けることです。

この考え方の基礎となるのが、渥美俊一氏のディスカウンティング論です。

渥美氏は1994年に『ディスカウンティング』を著し、その内容は「名目だけの廉価」や品質を落とした安売りではなく、「本当の安さを、常時提供する」ためのチェーンストア経営システムを論じたものとして紹介されています。著書の構成も、「ディスカウンティングのための経営政策」「商品政策」「製品開発」「ディスカウンティングの経営」となっており、単なる販売価格の引き下げではなく、企業経営全体の問題として扱われています。

この「常時」という点が重要です。

ディスカウンティングとは、ある商品を一時的に安く販売することではありません。

仕入価格を下げる。
物流コストを下げる。
店舗運営コストを下げる。
作業を標準化する。
商品そのものを開発する。
販売数量を増やす。
商品回転率を高める。

こうした経営上の仕組みによって原価と販売経費を下げ、その成果として、消費者に継続的な低価格を提供する。

これが渥美氏のディスカウンティング論を食彩品館NEWSの立場から理解する基本になります。実際、同書は「廉価」を単なる価格表示の問題としてではなく、経営政策、商品政策、製品開発を含む体系として構成しています。

食彩品館NEWSでは2013年の記事でも、ディスカウントについて「製造方法や流通過程の見直しによる調達価格の低減」と「販売店の運営方法の見直し」によって実現する低価格販売として整理し、「たまたま安いものを仕入れ、たまたま安く売る」こととは区別しています。つまり、以前から「ディスカウント=安売り」ではなく、「ディスカウンティングという継続的な活動の成果」として捉えています。

「低価格」と「ディスカウンティング」は違う

したがって、商品価格が安いという事実だけでは、その店がディスカウンティングを実践していることにはなりません。

例えば、通常398円の商品を特売日に298円で販売する。

これは「安い」ことは事実ですが、その298円が企業の恒常的な原価構造・経費構造によって実現された価格なのか、期間限定の販売促進価格なのかは別問題です。

また、処分品、余剰在庫、スポット商品などを安く仕入れて販売することも、その商品については低価格販売になります。しかし、それも企業全体の仕入れ、商品開発、物流、店舗運営などを組み替えて恒常的な低価格を実現したものとは限りません。

したがって食彩品館NEWSでは、「安く売ること」と「ディスカウンティング」は別の概念とします。

ハイ&ロー特売とディスカウンティング

 この考え方からすると、ハイ&ロー特売はディスカウンティングとは性質が異なります。
ハイ&ロープライシングは、同一商品について通常価格と特売価格を設定し、時期によって価格を上下させる価格政策です。一般的な小売価格政策でも、EDLPとハイ&ローは区別して説明されています。
ハイ&ローでは、通常時は398円。特売日は298円。特売終了後は398円という価格変動そのものを販売促進に利用します。
 一方、渥美氏のディスカウンティング論の中心にあるのは、「本当の安さを常時提供する」ために経営システムそのものを変えることです。
したがって、食彩品館NEWSでは、ハイ&ロー特売を販売政策として併用する店舗を、渥美俊一氏のいうディスカウンティングを実践する店舗とは位置付けません。
特売日に価格を下げることではなく、通常時から低い価格を維持できる原価構造・経費構造をつくることがディスカウンティングだからです。

ここに「ディスカウントストア」と「低価格志向店」の区別も生じます。

低価格志向店は、競合店より価格を下げたり、特売を多用したり、スポット商品を廉価販売したりすることで、「安い店」という評価を得ることができます。

 しかし、それがハイ&ローを前提とした価格政策であれば、食彩品館NEWSでは「低価格志向のスーパーマーケット」と表現することはあっても、「ディスカウンティングを実践する店」とはしません。

食彩品館NEWSとしての整理

 したがって、考え方を一文にまとめると、
「ディスカウント」は業態ではなく、ディスカウンティングという経営活動によって実現される価格政策の成果である。したがって、一般に『ディスカウントストア』と呼ばれる店舗も、小売業態としてはスーパーマーケットとして捉え、その中でディスカウンティングを実践しているのか、単なる低価格志向なのかを区別するとなります。
「ハイ&ロー特売によって一時的な低価格を訴求することはディスカウンティングではない。ディスカウンティングとは、調達・商品開発・物流・店舗運営などの経営システムを改革することによって、通常価格そのものを継続的に引き下げる活動である」

というのが、渥美俊一氏のディスカウンティング論を基礎とした食彩品館NEWSの立場になります。

バローグループ内でのブランド変更

 近隣既存店のスーパーマーケットバロー東新町店とほぼ同形態のスーパーマーケットであるドミー毘森公園店の内部競合をさける目的だけでなく、豊田市でのタチヤの評価を確かめることも目的であると推察。
タチヤは名古屋市内では圧倒的な評価を受けるものの、近年の店舗数拡大や労務管理の取組などから創業の精神を高度に維持しながらの運営は困難になってきているのではないかと、客として感じている。
ただし、タチヤの生鮮調達力と販売力は創業当初ほどではないにせよ、主婦や飲食店などのキャッシュ&キャリー利用は維持できているし、時折、驚くような高品質商品がこれまた驚くような低価格で販売されていることがあることも事実(新店オープン以外ではあまりみかけなくなったが)。
 今回はバロー既存店の内部競合もそうだが、バローとタチヤの互いの対抗心を煽って競争させるという目的もあるように感じている。
バロー社の関東新店は大変な評価を受けて、普段見慣れている私からすると「目新しいだけなんじゃないの?」と思ってしまうが、私の近隣のバローはどうかというと、生鮮売場をタチヤ風にしたものの、特に鮮魚は売場維持ができず、平日は活魚ではなく干物が売場に並ぶ。ちょっと、というかかなり物足りない状態。
なんとかしてよと思うが、売場で働く人を見ていると、平日の配置や人材構成では活魚の対面販売を豊富な品揃えで売場維持するのは難しい様子と見えた。(個人の感想です)
互いの対抗心は売場にパワーを与えることを経験則としている。これを期待しているのです。
 そして、豊田市民のタチヤに対する反応を見極めて、今後の西三河におけるタチヤブランドの出店加速を早めたいと思っているのではとも推察。
ドミーの既存店をタチヤに変更し、既存のスーパーマーケットバローを刺激し、客にタチヤという新たな選択肢を提供することで、バローグループとしてのシェアを拡大するという目論見。
 私としては、スーパーマーケット部門が衰退しているトヨタ生協の牙城はすでにバロー、フィール、フェルナ(カネスエ)が崩している。圧倒的な組合員構成率を誇ったトヨタ生協であるが、旗艦店の本店の衰弱に合わせて、市外店舗や小型店の撤退など、スーパー部門の収益が激減していることもあり、対抗することができないと予想している。
 よって、新店オープン時の活況とかではなく、定点観測による近隣店舗の客数・売価政策などにも注目したい。

タチヤの沿革と新店オープン

1964年 菓子問屋創業(名古屋)。
1969年 青果小売業を開始。
1979年 八事店増築。
1981年 マルダイタチヤ株式会社へ改組。
1988年 平針店。
1994年 川原通店。
1996年 緑神沢店。
1999年 堀田店。
2000年 株式会社タチヤへ社名変更。
2002年 東郷店。
2004年 高針店。
2005年 バロー子会社に。
2009年 木曽岬店。
2011年 多治見店。
2013年 四日市店。
2014年 各務原店。
2015年 関稲口店。
2016年 山県店。
2019年 てらお食品グループ会社化。
2021年 JR高蔵寺駅構内青果専門店出店。
2022年 扶桑店、錦二丁目店。八事店建替。
2024年 4月楠店、11月神領店。
2025年 売上高402億円。
2026年 7月代表取締役会長、代表取締役社長交代。

バローの沿革

・1958年 株式会社主婦の店設立。9月1号店開店。
・1970年 株式会社主婦の店バローへ社名変更。
・1974年 株式会社バローへ社名変更。
・1977年 本部を岐阜県多治見市へ移転。
・1984年 中部薬品を設立。
・1985年 中部フーズを設立。
・1989年 多治見市に初の物流センターを開設。
・1993年 名古屋証券取引所市場第二部へ上場。
・1995年 株式会社富士屋と合併し、県外進出を本格化。
・2001年 株式会社岐東ファミリーデパートを子会社化。
・2002年 バロー一宮西SC出店、100店舗達成。
・2003年 売上高1000億円達成
・2005年 株式会社タチヤ子会社化。
・2007年 株式会社ユース(福井)子会社化。
・2011年 豊田物流センター(愛知)開設。
・2015年 株式会社バローホールディングスへ商号変更。
・2017年 株式会社公正屋(山梨)子会社化。
・2019年 株式会社三幸(富山)子会社化。
 アレンザホールディングス株式会社子会社化。
・2021年 八百鮮,ヤマタをグループ化。
・2025年 株式会社ドミーを買収。
・2026年 グループ全体営業収益9,241億円。

スーパーマーケットランキング2026年作成

★タチヤ社の食彩品館.jp記事


★印は訪問記

・2026/09/26タチヤ豊田小坂店(愛知県)

・2024/09/02タチヤ神領店(春日井市)

・2023/05/17タチヤ楠店(名古屋市)

・2022/11/01タチヤ八事店(名古屋市)

・2022/02/02タチヤ錦二丁目店

・2021/11/03アスティ高蔵寺

・2021/08/02タチヤ扶桑店(愛知県)

・2021/03/30タチヤみなと店(名古屋市)

・2020/07/24タチヤ多治見店(岐阜県)改装

★・2020/02/14濃味熟成エクアドルバナナ

★・2020/02/12仙台牛5等級(タチヤ高針)

・2019/11/02タチヤ緑神沢店(名古屋市)

・2019/10/03タチヤ長久手店(尾張旭市)

・2019/07/15タチヤ平針店(名古屋市)

・2018/10/13タチヤ堀田店(名古屋市)

・2018/09/05タチヤ北方店(岐阜県)

★・2017/12/20タチヤ山県店訪問記

★・2016/10/04タチヤ東郷店訪問記

・2016/05/18タチヤ山県店(岐阜県)

・2016/03/28タチヤ山県店(part2)

・2016/03/07タチヤ関稲口店(岐阜県)(7)

・2015/10/13タチヤ川原通り店閉店

・2015/06/03タチヤ関稲口店(part6)

・2015/05/20タチヤ関稲口店(part5)

・2015/05/11タチヤ関稲口店(part4)

・2015/04/18タチヤ関稲口店(part3)

・2015/03/25タチヤ関稲口店(part2)

★・2015/01/20タチヤ各務原店再訪問記

★・2014/05/21タチヤ堀田店訪問記

★・2014/03/28タチヤ各務原店訪問記

★・2013/11/04タチヤ平針店改装訪問記

★・2013/10/24タチヤ四日市店訪問記

★・2012/01/19タチヤ多治見店再訪問記

★・2011/11/03タチヤ多治見店訪問記

★・2011/10/19タチヤみなと店訪問記

★・2009/11/09タチヤ木曽岬店訪問記

★・2008/10/22タチヤ港店訪問記

・2008/09/24タチヤさんの思い出

※食彩品館.jpはすべてのタチヤ社店舗を買物訪問していますが、買物記事として記録しているのは上記のみです。

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この記事を書いた人

食品調達部門統括、店舗運営部門統括、商品戦略本部長を歴任し、現在に至る(定年退職)。調理師、食肉技師、有機栽培行程管理士教育受講、法学士。

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