山猫軒本店(岩手県花巻市)「白金豚のカツカレー」「石黒農場ほろほろ鳥のチキンカツ定食」「イーハトーブ定食」「岩手県産ロース定食」「花巻産和風ステーキ定食」から私が選んだのは?。宮沢賢治記念館,イーハトーブ館,宮沢賢治童話村,下ノ畑,雨ニモマケズ詩碑,同心屋敷前,羅須地人協会,

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山猫軒本店(岩手県花巻市)白金豚実食記

 今回の旅(2024年10月)は岩手県花巻市の法師温泉藤三旅館と北山市の夏油温泉元湯夏油(げとう)という全国でも珍しい「足元湧出(源泉が浴槽の下から湧きだし、空気に触れる前の新鮮なお湯に入浴できる)」の温泉に入浴するのが目的。
その周辺や途中にある気になった温泉や観光地に寄ろうじゃないかという旅。
いつも温泉旅に同行してくれる妻も流石に秘湯2連泊はちょっと・・・ということで当方一人旅。
 一人旅は寂しい反面、自由に行きたい所へ行けるのがメリット。
温泉の間に「宮沢賢治」「遠野物語」というテーマでレンタカーを駆って観光してきました。

 まずは賢治自耕の地「下ノ畑」と「雨ニモマケズ詩碑」へ。
「同心屋敷前」に無料駐車場があり、そこへ駐車して詩碑まで徒歩5分程度。
途中、いろいろなオブジェが道端にあり、撮影していたら詩碑まで10分程かかった。

 詩碑は羅須地人協会(らすちじんきょうかい)跡にある。
1926年に賢治が農業技術を農民に指導するために設立したのが羅須地人協会。
当地で1928年まで賢治はここで生活していた。
当時の建物は県立花巻農業高等学校地内に移築復元されている。
詩碑を眺めていたら地元の方がやってきていろいろと説明いただいた。
特に「下ノ畑」の実際の位置についての考察は興味深かった。
今後、著作発表の予定があるとか。

↓ 下ノ畑

目次

●雨ニモマケズ詩碑

岩手県花巻市桜町4丁目

詩碑見学の後は同人屋敷へ。

同心屋敷

岩手県花巻市桜町4-83-5
花巻同心組が居住していた家屋。
12月~3月までは敷地内立ち入り不可。

*********************
今回の岩手県遠征の最終日(3日目)は夏油温泉から錦秋湖へドライブ。

昼食後は帰りの飛行機の時間調整を兼ねて宮沢賢治関連施設へ向かう。

● 宮沢賢治イーハトーブ館

岩手県花巻市高松第1地割1番地1
入場無料

 当日の企画展は「1924年の春、春と修羅、注文の多い料理店刊行100年」。
開催期間は2024年7月13日(土)~2025年1月30日(木)

1. ご挨拶(刊行100年企画展 編集員会)
2.『春と修羅』『注文の多い料理店』関係年譜(大沢正善、大野眞男)
3. 心象スケッチ集『春と修羅』の刊行経緯(大野眞男)
4.『春と修羅』のテクスト変遷と詩集編成経過(浜垣誠司)
5~6.「春と修羅」(栗原敦)
7~9.「小岩井農場」の生成(杉浦静)
10~11.「永訣の朝」(杉浦静)
12.「青い槍の葉」と「東岩手火山」(大野眞男)
13. 大正13年の同時代評(大野眞男)

14.『注文の多い料理店』の刊行経緯 (大野眞男)
15~16.『注文の多い料理店』所収作品の配列(大沢正善)
17~18.『注文の多い料理店』所収作品の推敲(大沢正善)
19. 宮沢賢治の「イーハトヴ童話」(深田愛乃)
20.『注文の多い料理店』を装丁し挿絵を描いた菊池武雄(大野眞男)
21.『注文の多い料理店』各篇扉
22.『注文の多い料理店』各篇挿画
23.『赤い鳥』と『注文の多い料理店』(牧千夏)
24. 新教育運動と『注文の多い料理店』(牧千夏)
25.『イーハトヴ童話注文の多い料理店』の地元への伝播
   ~花巻の児童雑誌『子供の力』~(小島聡子)
動画展示
・『春と修羅』の生成変化(浜垣誠司)

その他、「見る」「集う」「調べる」「買う」「休む」のコーナーがあります。

宮沢賢治童話村

岩手県花巻市高松第26地割19−26−3

イーハトーブ館から車で1~2分と至近ながら歩くと結構、遠い。
 施設は「銀河ステーション」「妖精の小径」「賢治の学校」「賢治の教室」「天空の広場」「山野草園」などのコーナーに分かれる。

残念ながら天候悪化のため短時間の回遊だったのが残念。

宮沢賢治記念館

岩手県花巻市矢沢第1地割1−36
℡ 0198-31-2319
⭐︎2館(童話村と記念館)入場券550円

 少し高台にあるので、童話村から徒歩で登る体力に自信がない方は記念館駐車場まで車で行くことをお勧めする。
駐車場から見て中央にトイレがあり、左右に記念館と山猫館本館がある。

記念館では特別展「刊行100周年 二冊の初版本」を開催中。
開催期間 2024年8月10日から2025年年2月9日まで

残念ながら二冊の初版本はレブリカ展示。
それよりも感動したのは賢治愛用のセロと妹トシ愛用のバイオリン展示。
いずれも鈴木バイオリン(名古屋市)製造。
アインシュタインも愛用したという名器を制作したことで知られるが、なんといっても、当方、鈴木バイオリン製造のアコースティックギターを所有。

2014/06/26鈴木バイオリン(名古屋市)が1975年に恵那工場で製造したフォークギター(ウェスタン、トレッドノートタイプ)

 イーハトーブ滞在の最後は“注文の多い料理店”「山猫軒本店」へ

 「注文の多い料理店」を読んでいない人は、とりあえず青空文庫で読んでから以下に進むことをお勧めします。
内容をさらに理解して読んでみたいという方は京都教育大学国語教育研究会の「電子版文学教材の解釈2012年寺田守編著」の中の15ページ「注文の多い料理店(解説付)」を推薦いたします。

 「どなたもどうかお入りください。決して遠慮はありません」という例の1文が山猫軒の入口に掲げられている。

↓ 山猫軒の玄関の表示

 中に入ると売店コーナーがあり、その中央付近の奥にレストランがある。
そのレストランの入り口にも再度、「けっしてごえんりょはありません」と、今度は平仮名で表示。扉こそ“水色”ではないが、文字は“黄色”で原作の金色を意識というのが洒落ている。原作では「当店は注文の多い料理店ですから、どうかそこはご承知ください」の文字が黄色だったと記憶している。

↓ レストラン入口

入口の“遠慮はありません”は、客に対して「遠慮しなくて良いですよ」という意味ではなく、料理店側から遠慮なくいろいろな注文を出す、すなわち“(料理店側に)遠慮はありません”という意味だが、当店(山猫店本店)からの注文は特別ないようです。

 ちょうどお昼の営業時間終了間際だったので念のため「まだ食事できますか?」と確認。本当は「肥っていますが歳は若くないです。よろしいですか?」と聞きたかった(^ー^)。原作に「ことに肥ふとつたお方や若いお方は、大歓迎いたします」とある。

 レストランに入ると、原作のようにいくつもの扉を開けて進むこともなく、すぐにテーブルが置いてあり着席できる(#^.^#)。
当然、髪を梳いたり、靴の泥も落とさなくて良いし、クリームも塩も体に塗らなくても良いので安心。
 ↓ (レストランの入口には表示してあったが)

原作と一番違うのは、山猫の親分(親方)が店の中にいて堂々とこちらを眺めていることか。
↓ 山猫の親分(親方)

 よく見ると、山猫のテーブルの皿には「注文の多い料理店」に迷い込んだ“二人の若い紳士“が描かれている。思わずニッコリ。
でも山猫の目は“青”ではない。

◇メニュー

 メインメニューとして「イーハトーブ定食」「岩手県産ロース定食」「花巻産和風ステーキ定食」の地産メニューが並ぶ。
原作では洋食店なので、それに合わせてなのかどうかは不明ながら、ハンバーグ定食やビーフシチューセットなどもラインナップされている。
また、「すヰとん(ひっつみ)」も「うどん。そばメニュー」「餅(わらしべ餅)」もある。

 当初は“おすすめ”マーク入りの「イーハトーブ定食」をオーダーしようかと思ったが、「石黒農場ほろほろ鳥のチキンカツ定食」も「白金豚メニュー」も気になる。

 “石黒農場ほろほろ鳥”はアフリカのギニア地方原産のキジ科の鳥。通称“食鳥の女王”。
東京の高級スーパーで見た時は怖ろしく高額だったが、業務用の低価格品をディスカウンターで販売されていたりするものの、食したことはない。
同じギジ目のシチメンチョウ(七面鳥)とはまったく別種ながら両方とも“ターキー”と呼ばれるが、両種ともトルコ(Turkey)から輸入されていたため混同されるようになった(らしい)。
七面鳥は以前、食したことがあるが、特に美味しいとも思わなかった。その時に同席した知人から「ヨーロッパのほろほろ鳥料理は美味しい」と聞いていたので、ずっと気になる存在だった。
しかも、熱帯地方のアフリカ原産種であり、日本での飼育が難しいとされる中、岩手県花巻市で育てられている地場産という貴重さが魅力。
後で調べたら、今回の遠征旅行の初日に行った花巻温泉郷の少し奥まった場所にあるらしい。知っていたら寄っていたのに。
↓ 花巻温泉

↓ 入浴した台温泉精華の湯

そして、もう一つの注目原材料は「白金豚(はっきんとん,プラチナポーク)」。先日記事にした「Nの隠れ家(愛知県)金アグー」でも白金豚のことを触れたが、脂身の美味しさは「あぐー豚・金アグー豚」に匹敵するという銘柄豚。「岩中豚(岩手中央畜産)」と合わせて是非とも実食したいと思っていた地元岩手の貴重品種。
今回の初日の宿泊場所である藤三旅館(花巻市)ですでに白金豚のしゃぶしゃぶ風を食しているが、トンカツにした白金豚も食してみたい。
ほろほろ鳥す白金豚か。
迷いに迷って決めたのが「白金豚」。

★白金豚のカツ丼 1,100円

 当日はすでに昼食を済ませていたものの、“注文の多い料理店”インスパイアの当店で是非とも実食したいと思い、ちょっと早めの夕食を摂る目的。
そこで、できるだけ軽め食事をということで、カツ丼を選択したが、白金豚の味を確かめる目的だったら「白金豚のとんかつ定食1700円」にすべきだったと少し後悔。


と、いうのも、卵とじになていることをすっかり忘れていた。いつも食べ慣れている愛知の県民料理(×名古屋メシ)の味噌カツイメージで、後でタレをかけるタイプを勝手に想像してしまった。(メニューの画像は「白金豚のとんかつ定食」だだった)
とはいえ、自宅近くのかつ丼メニューを提供する店でもすべて卵とじタイプなので、何もかけてないトンカツを勝手に想像・解釈した私が悪い。

 豚肉は価格からして当然、さほど厚くなく、前述の「Nの隠れ家(愛知県)金アグー豚」のような厚いタイプではなく、味もわかりにくい。
でも、「花巻で」「地元産の白金豚のトンカツを食した」という充実感で満足することに。
良い食体験でした。

ああ、ほろほろ鳥か白金豚の定食にするんだった。

ところで、白金豚について。

高源精麦(岩手県花巻市)で、生産から飼育まで一元管理し、主としてレストラン用に出荷されている希少種でせあり、スーパー等の小売店では販売されていない(らしい)。

 6次産業としての直営レストランも営業されていて、白金豚メニュー(ポークソテー,ベーコンステーキ,しょうが焼き)もいただける。
・レストラン ポパイ
岩手県花巻市若葉町3丁目11-17
(花巻市文化会館前)

 白金豚(はっきんとん,プラチナポーク)の名称は宮沢賢治の「フランドン農学校の豚」で豚のことを白金に例えて“豚のからだはまあたとえば生きた一つの触媒だ。白金と同じことなのだ。無機体では白金だし有機体では豚なのだ。”という文から命名した。

 高源精麦の白金豚は「LWB三元交配豚」で、母親が「ランドレース種(L)、大ヨークシャー種(W)」の混血種(LW)。父親はバークシャー種「B」ということで、三種を交配したため「LWB」の略称で表記。
“三元豚”の組み合わせは、この他に、バークシャー種の替わりに「デュロック種」を交配した「LWD」があり、そちらの方は国内で7割以上を占める。
品種の特徴は以下の通り。
・ランドレース(L)は大型・発育良好・多産、胴が長い(ロースが長い)
・大ヨークシャー種(W)は多産、成長が早い
・バークシャー種「B」はロース芯が大きく肉質良好
・デュロック種「D」は成長が早く肉質良好
・ハンプシャー種「H」は赤身の肉質良好

 畜産業界では「LW」の母親豚と交配させる父豚のことを「止め雄(とめおす)」と呼ばれていて、止め雄はバークシャー種だったり、デュロック種だったりする。
白金豚の止め雄はバークシャー種で、脂身が美味しい特徴を持つ。
ちなみに「黒豚(六白)」は純粋のバークシャー種です。
また、平田牧場の金華豚(きんかとん)は2種あり、「純粋金華豚」と「平田牧場金華豚」。
このうち、平田牧場金華豚はランドレース雌とデュロック雄を交配した雌豚(LD)と雄の純粋金華豚(K)を交配した豚(LKD)です。

山猫軒本店(岩手県花巻市)
岩手県花巻市矢沢3-161-33
レストラン ℡0198-31-2231
売店℡ 0198-31-2305

↓ さわやかトイレ

商業施設・飲食店訪問17,000店強

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この記事を書いた人

食品調達部門統括、店舗運営部門統括、商品戦略本部長を歴任し、現在に至る(定年退職)。調理師、食肉技師、有機栽培行程管理士教育受講、法学士。

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